東海道再び・権太坂から品濃坂 2002.09.22


 日本橋を発ってから、初めての難所と呼ばれるものに権太坂がある。武蔵の国と相模の国の国境である境木、そしてそれに続く、焼餅坂、品濃坂という有名な坂があり、横浜に残る、唯一といってよいほどの旧道を味わえる区間である。しかし、近くに急激な宅地化、繁華街化の進む東戸塚を控え、開発の波を止めることはできない。どうやら、この焼餅坂が、マンション建設のために破壊されてしまう、との情報を得た。今年(2002年)の春に着工し、いよいよ無くなってしまうとの情報のため、急がねば、二度とあの雰囲気を見ることはできない。さっそく時間ができたため見に行ってみることにした。

 目的は焼餅坂であるが、ここだけが目標ならば、東戸塚駅からちょっと行って戻って来るのが早くて簡単である。しかし、せっかくだから、ちょっと街道歩きをしてみることにした。すると、手前の保土ヶ谷スタートが面白そうである。権太坂も楽しめるし、どうしても見付からない「保土ヶ谷一里塚」の調査もできる。

 自宅から保土ヶ谷に向うには、いろいろな方法が考えられるが、保土ヶ谷駅は、東海道線の通過駅であり、総武横須賀線にか停車しない。すると、いずれにしても最終的には総武横須賀線に乗り換える必要があり、それをどこで乗り換えるかが問題となる。通常ならば、横浜へ出てから乗り換えるところであるが、南武線の鹿島田駅と横須賀線の新川崎駅が、600メートルしか離れていないことを利用すると、乗り換えが1回で保土ヶ谷まで行けることになる。検索してみたところ、一番安い方法でもある。と言っても30円しか安くないのだが。
 南武線で鹿島田駅まで向かい、一旦駅を出て商店街を歩き新川崎駅へ向った。程なく目的の列車がやってきて乗り込んだ。これを用いて横浜方面に向うのは初めてである。この総武横須賀線というのは変な路線で、新川崎から横浜までは、1つも停車しない。ということで高速に移動するための快速扱いなのかと思うと、横浜を過ぎた途端に、保土ヶ谷、東戸塚、戸塚、と細かく停車する。

 さて、保土ヶ谷駅に到着すると、駅前ロータリー側に降りる。降りたことは無いのだが、歩きで付近を通ったため、大体の土地鑑がある。駅前に散策マップがあったので、何気に見ると「一里塚跡」の文字が。これは期待できるかもしれない。


 駅前にある看板であり、神奈川宿方面から正しく街道を歩くと、この看板を見ることは無い。期待して向ってみる。以前の記憶を元に街道に入ると、前回は気が付かなかった柄のマンホールを発見し、写真を撮る。その他、金沢横町の道標などを相方に紹介しながら進む。本陣跡をちょっと見物した後、さっそく一里塚に向った。この案内地図によると、街道の右側に書いてある。確か、以前、金網に看板が掲げてあったのは左側である。ここは、二人いるということで、相方に右側担当になってもらい、私は左側を丹念に見て進むことにした。
ちょうど川に沿った箇所が怪しいことはわかっていたため、川を覗き込むような動きをしていた。そのためか、自転車で通り過ぎるオジサンから声を掛けられ「こんなことにタマちゃんは来ないよ〜」こりゃまた古い話題を・・・いやいや、そんなもの探しているんじゃないんですけど。一里塚のことを説明すると、こっちへ来いとのこと。自転車で先を急がれても・・・走って着いて行くと、なんだか5本程の石碑を紹介される。これは以前も見たことがあり、違うことは知っていた。なにやら説明されるのだが、情報は古くからあることだけで、何だか知らないらしい。結局無駄な時間を食ってしまっただけだったが、やはり、探してみても、左右とも、何も無かった。しかし、この辺りであることだけは間違いないだろう。

 残念だが、雲行きも怪しくなり、そんなにのんびりしている時間も無くなってきた。先を急ぐことにする。右側に横断すると、国道から分岐する。突き当たりを左折し、庚申塚を目印に、権太坂が始まる。勝手知ったる路である。久し振りに見る権太坂は、意外に急坂だった。かと言って、苦しい程でもなく「結構急だよね」とか言っている間もなく、辺りは見晴らしが良くなり驚かされる。もう、こんなに登って来たのか。途中の光陵高では文化祭を催していたようで、若者がたむろしていた。その先、境木小中学校に突き当たると、交通量の多い危険な通りになる。この辺り、変わっていない。し、しかし、境木地蔵の近くまで来ると・・・何かが違う。妙に見晴らしが良いのだ。切り通し右側(東戸塚駅側)の茂みが無くなっているのだ。それで見晴らしが良くなってしまっている。交差点内に、一軒だけ立ち退かない民家があるだけで、その他は一変している。
 
 おまけに道路拡幅工事まで始まり、マンション前には歩道ができるようだ。側溝が整備されつつあった。ここに示された建築計画書によると、着工は平成14年5月、完了予定は15年12月となっていた。ずいぶん時間がかかる工事のようだ。通常の平地のマンション建設だと、約半年で完成するのだが、やはり斜面ということと、切り崩してから整地という工程が必要であるため、期間が長いのだろうか。とりあえず、現段階では、まだまだ基礎工事のようだ。

 マンション建設現場(焼餅坂)を後にすると、品濃坂に向った。一里塚の様子を確認するためである。ちょっと勘違いしていたのだが、マンション建設は焼餅坂であり、品濃坂からは若干遠い。まだまだ品濃坂は大丈夫そうである。特に何の変化も無く、以前の通り静かに存在した。
 前回ここに来たとき、左側の塚は「立ち入り禁止」の看板があったため、近づけない、と勝手に解釈していたのだが、回り込めるのではないか? との相方の意見により、路を探してみた。すると、大して問題も無く裏から近付くことができ、そこは小さな公園となっていた。

 左側塚の方が整備されているが、木は桜の木であった。ここ、品濃坂の一里塚を調べてみると、「右榎、左木無し」とのこと。

 その後、東戸塚に向うには便利な陸橋があるのだが、ちょっと調べ物があったため、そのまま東海道をたどり、旧東海道の陸橋を渡った。調べ物とは、NTVの「東海道を歩こう」の1シーンであった果樹園の場所探しである。これは、難なく見付かった。予想どおりの場所であった。



 とりあえず、今回の目的は終了のため、東海道から外れ東戸塚駅に向う。ダイエー、西武のデパートが見えるが、そこが繋がっているようである。ちょうど雨が降ってきたので、そのビルの中を通って駅に向おうと考えた。この辺りは、斜面にビルが建っているため、階数が非常に判りにくい。ダイエーの入口は2階であり、真っ直ぐ進むと、徐々に登る斜面でいつのまにか3階にいた。しかし、そこに通ずる西武デパートは、何と!7階である。どうなってるんだ?
 ふと、振り返りダイエーを見る。

 あ、

 ダイエーと西武と言えば、昨日、西武が勝って、優勝が決まり、2位がダイエー(その後3連敗で3位に転落中)という関係ではないか。タイムリーなことに、昨日優勝が決まったばかり。つまり本日、優勝セール、というわけだ。
 西武のレストラン街にて夕食を食べて帰宅した。なお、食事をしたのは7階だったのだが、それは先ほどの西部デパートの6階と同じ階である。よーわからん。



本日の徒歩データ:20291歩


2002.09.24