またしても青梅線。
滅多に乗らない、乗っても拝島までだった青梅線に、何故かこの４月だけでももう３回目、ほぼ毎週土曜日に乗っている気がする。
今回は、ハイキング号リベンジの旅。そう、南武線から直行して奥多摩まで走る、季節列車に乗るのが目的である。また、サカモト＠東雲さん
と同行し、桜の写真を撮り歩いてから２週間後の奥多摩の様子を見るのが第二の目的である。ほとんどが青梅街道になるのだが、特に街道目的ではない。それでは早速行ってみよう。
奥多摩ハイキング号は、余程運が悪くなければ「四季彩号」という特別車両にて、川崎を基点として南武線、青梅線を直行し、奥多摩まで快速運転をする。ハイキングシーズン限定で、特定の土日祝祭日運転で、１日１本だけ運行している。こんな特殊運行であるが、あくまで快速電車であり、予約ができるわけでもなく、座席指定があるわけでもない。自宅付近だと武蔵小杉駅、もしくは武蔵溝の口駅に停車するが、万が一のことを考えると、起点である川崎に向かう方が安全だ。そういうわけで、早起きし、川崎に一旦向かってから乗り込むことにした。何度も乗り降りすることを考えて、ホリデーパスを利用することにした。最寄駅で購入しようとするが、上り列車が到着する時刻になってしまった。これを逃すと川崎駅での乗り換えが苦しい。とりあえずSuicaで入って一旦、川崎で下車後、購入することにした。駅のホームに出ると、不思議な列車が停車している。特別車両なのだが、四季彩号では無い。全車両グリーン車の紺色のお座敷列車である。
ゆっくり見物する間もなく、あわてて上り列車に駆け込む。
途中、南武線駅の退避線を気にしながら移動するが、何処にも四季彩号は停車していない。と言うことは、青梅方面から移動しているのだろうか。川崎までの区間には、どこにも停車していなかった。少なくとも15分後には川崎駅に到着していなければならないので、どこかに退避しているのだと思っていたのだが。
川崎駅に到着すると、無事、ホリデーパスを￥2300で入手する。ここまでの移動分は無駄になったが、これで本日一日間は、範囲内ならば何処でも何度でも乗り降りできる。
改札前には、何かしらの団体が大勢集合していた。新聞社の旗を手に持っている。団体に紛れて改札を抜けると、急いで南武線のプラットホームに下りる。四季彩号はまだ来ていなかったが、結構な人々が並んでいた。明らかにハイキング号目当ての客であろう。川崎駅まで来たのは正解だったようだ。すると、目当ての四季彩号ではなく、先ほど駅で見かけた見慣れない紺色の列車が入車してきて、改札前にたむろしていた団体がが乗り込んで行く。
車体横に「華」と書かれていた。あとで帰宅後調べてみると、JR東日本の485系で、「宴」の姉妹車版の交直両用和式電車とのこと。
乗り込んだ車両は先頭車両で（この時期、先頭には乗りたくないのだが）、奥多摩方向に向かって右側が通常のロングシート、左側が折りたたみ式の２人掛けの椅子となっており、左側の窓の下にわずかなテーブルがある。川崎で並んだだけのことがあり、無事、テーブル設置側の椅子を確保することができた。何故、こちら側だけが展望タイプになっているかと言うと、この四季彩号は青梅線の奥多摩方面専用車両のため、こちら側のみが展望できれば問題ないからである。右側は、ほとんどが山の斜面側であり、展望は無い。しばらく青梅駅までは住宅地・都市部を走るため、客が全員左を向いている、という異様な光景が続く。
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謎の紺色列車「華」 手前の男は見知らぬ人・・・ |
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中は意外に混雑。乗客全員→方向を見ている。（進行方向左） |
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人が降りるとこんな感じ |
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奥多摩到着 |
川崎では、座席の確保のため見物することができなかった車両を、ゆっくり見物することにした。他の乗客は大半が「ハイキング目的」のため、とっとと改札を出てしまい、ホームは空いている。
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乗った車両は先頭の『春』 |
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最後尾は『冬』 ということは…当然、「春夏秋冬」の順に車両が並んでいる。 |
 春 |
 夏 |
ロングシート側の境界のプラスチック部分に各車両の季節をイメージする絵が描かれている。
『夏』は車両のデザインは「れんげしょうま」なのだが、ここは「ひまわり」 |
 秋 |
 冬 |
四季彩号見物を終えて、そろそろ改札に向かおうかと考えていると、ホリデー快速が到着した。新宿から直通してくる電車である。これが異常に人が多く、到着と同時にホームは人であふれ、とてもじゃないが、改札に向かえなくなってしまった。一気に出られない人々で駅中あふれ、おまけに精算が必要な人々だらけのため、改札が混乱していた。改札を出るのを諦め、駅の中でしばらく待つ。この隙にトイレに行こうと思ったのだが、あいにくトイレは改札の外で、しかも大混雑していた。
10分程待ってようやく駅を出たものの、駅前は人で溢れており、トイレ待ち行列がまだ収まっていない。とんでもない場所に来てしまったようだ。タクシー待ち行列やら、バス待ち行列やら、駅周辺は人だらけのため、落ち着いて散策もできない。地図を見てみたところ、それほど辺りに面白そうなところも無いため、白丸に戻ることにした。とにかく、こんな山奥まで来て、人ごみは御免である。
駅員の不思議そうな顔を横目に、再び改札を通過して駅構内に戻る。この時間に奥多摩駅に乗り込む客はいない。
白丸駅に到着してみると、景色は一変していた。桜の花は、すべて葉っぱに変わっており、新緑がまぶしい。少し駅周辺をうろうろした後、駅構内から繋がる近道に戻った。
前回訪ねた時には行けなかった「切り通し」に行ってみることにした。何処にあるのか知らなかったが、とりあえず、山の方向に向かって歩き始める。そのうち看板が出てきて、それに従って進む。
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奥多摩駅舎 人が多くて嫌になり、とっとと退散・・・ |
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桜が無くなり、こんなになっちゃいました、白丸駅 |
青梅線のトンネルの上を通過し、山道を進むが、多少不安になる。確かに矢印は出ていたが、その後何も表示が無い。誰も居ない山道を進むと、やがて大きな標識が出てきた。急な坂を登ると、そこから切り通しが見えた。予想以上に迫力のある切り通しであった。山を切り開いたと言うよりも、岩を砕いて造られた道である。説明を読むと、「岩盤に火を焚いて水をかけ、ツルハシと石�戮農擇螻�いたもの」とある。この巨大な岩が邪魔をしていたらしく、江戸初期までは、山越えをしていたものが、元禄の頃の、この切り通しによってようやく楽に行き来ができるようになったと言う。
さらに先に進んでみるが、残念ながらこの道は途中で行き止まりとなっていた。旧青梅街道（車道）の崖の上で道が終わっている。車道を開通させたときに、崖を崩し、道が無くなってしまったのであろう。現在の国道は、この切り通しの直下をトンネルで抜けている。
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山道を進む。本当にこの道で正しいのか不安になってきた。 |
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数馬の切り通し |
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岩を砕いた切り通し |
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遊歩道入り口 |
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こんな道が続く |
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突然、ダムが現れる。 |
なかなか変化にとんだ面白い道で、山あり谷あり橋あり、ダムを越えてしばらくすると、川に沿って進む道ありで、つり橋を渡ると鳩ノ巣温泉郷に到着。双竜の滝という案内板を発見し、そちらに向かうと、廃業した旅館の脇を抜けて国道に出た。すぐ目の前が鳩ノ巣駅。
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山を降り、川に沿って進む |
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温泉郷到着。何故か紅葉 |
鳩ノ巣駅周辺も、当然のことながら桜は終わっており、景色は一変していた。桜に変わって、今度はそろそろツツジが咲き始めていた。駅で待っていると、何と現れた列車は再び『四季彩号』 今度は違う車両（夏）に乗ってみるが、ボックスシート側が満席のためロングシート側に座る。一駅だけの移動なので問題なし。古里で降りる。
古里駅で降りた理由は、前回と同じ店で昼食を取るためであった。別の店でも良いのだが、メニューが判っているほうが安心できる。同じ店で同じ物「山女の天ぷら定食」を頼む。
昼食を済ますと、再び駅に向かった。前回も電車で移動したのだが、今回も電車で御嶽に移動する。御嶽は人気の場所らしく、駅前は人ごみであった。鍾乳洞などの案内もあったのだが、そこまで脚を伸ばすには時間が無さそうである。またいずれということにして、軍畑に向かって歩き始めた。
近道をして踏み切りに向かうと、突然、警報機が鳴り出した。立ち止まると、何と、この歩道は踏み切りの内部に居ることに気付いた。決して違法なことをしているわけではなく、本当に歩道が踏み切り内部に接続しているのである。運転士に睨まれてしまったが、こちらだって、警報機の音で立ち止まっただけの話で、悪いことをしているわけではない。わずか１メートルほどの脇を、しかも頭の高さあたりに車輪が来るほどのところを全速で通過して行く。結構、恐怖体験ができる。
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ド迫力 変な踏み切り |
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歩行者専用の道を進むと、踏切内に出てしまう |
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立体的に書くとこんな感じ。
近くが怖いからと、少し手前で待つと、逆に、頭の真横を車輪が通過する。 |
御嶽駅から沢井駅に向かって行く途中は、前回、各種撮影ポイントがあるので、前回のおさらいとして辺りを見ながら進む。天候が全く違い、今日は快晴である。しかし景色が違うのは天候だけのためではない。桜が無いどころか、菜の花ポイントに到達しても、全く、菜の花が無くなっていた。花が無いだけでなく、本体ごと無いのだ。畑となり、茄子が植えられていた。隣の梅の木の辺りは草が生い茂ってしまい、全く違った景色を示している。その先、チューリップのあった場所は、かろうじて枯れかけのチューリップがあったものの、やはり草が伸び、梅の木越しに線路をみることは不可能となっていた。
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花の種類が替わっている。色鮮やかな花になり、景色一変。 |
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これは花では無いが、綺麗。 新芽が赤い紅葉ですな |
沢井駅に到着直前に上り列車が来てしまった。ほんのわずか間に合わなかったらしい。走れば間に合ったかもしれないが。この列車を逃しても30分待てば、次がやってくる。待ってもよかったのだが、考えてみれば、30分歩くと次の駅まで行けそうな距離である。この先、軍畑までの区間は、前回歩かなかったので、道は良く判らないのだが、ま、線路沿いに行けば到達できるだろう。軽く考えて次を目指すことにした。
しばらくの間は線路の左、そして右側に移っても、しばらく並行して進んだのだが、だんだん離れて行き、とうとう、突き当たりに出てしまった。携帯のGPSで辺りの地図を表示してみると、どうやらこの先は、諦めて国道に出るのが正解のようだ。少し下って国道に出てみると、見た事のある景色。もう、軍畑の駅の直下まで来ていた。さて、ここから駅までは、相当の坂道が続く。しかし、他に方法は無い。ここから駅に向かう道路が、前回、最後に鉄橋を撮影したポイントである。今日も、見知らぬ人が、全く同じ場所で、鉄橋に向かって望遠レンズを構えていた。息が上がる。歩き疲れた太ももに、ジャブのように効いて来る。平地は平気だったのに、わずかな坂が脚を痛める。ここで次の列車に間に合わなかったら、何のため歩いたか判らない。ようやく駅前に到着すると、ちょうど列車がやって来た。
何とか乗り込むことができ、青梅駅からは始発の新宿行きへ乗り換え。当然、座ることができる。せっかくの１日フリーパス券のため、遠回りして帰ろう、と話していたのだが、とてもじゃないが、素直に帰るのが良いだろう、という決断をし、無難な経路、立川乗換えで南武線、という普通のコースを選択した。
と言う訳で、せっかく購入したホリデーパスであったが、使った乗車賃が2350円。購入価格の2300円よりは何とか上回ったが、あまり得をした気がしなかった。確かに、あえて遠回りして、例えば川越まで行ってみようと話していたのだが、そんな遠回りして帰宅したところで、得をした気がしないだろうから、素直に座ったまま帰宅できたことで、しかも、事故も無く帰宅したことで良かった、ということにしておこう。