■岡部-藤枝間の忘れ物
　鬼島、という地名にはかすかに見覚えがあった。しかし、そこを通過する頃、陽が傾き始めていたことと、急いでいたことから、ほとんど見物する余裕も無く、ただ黙々と歩いていた。一里塚を見忘れていたのであった。
　場所は、だいたい見当を付けていた。これはぜひチャンスに見て来なければなるまい。
　てなわけで、名古屋方面に向かう途中、藤枝に寄ることにした。

　この日（2001.08.11）、盆の連休初日ということもあり、非常に混雑が予想された。実際に、御殿場付近で40kmなどという驚異的な渋滞情報も出ている。特に急ぎでもないつもりだったので、ずっと国道１号線を南下していた。ところが、箱根を越え三島、沼津と来たとき、急に大雨になってきた。予定外の渋滞が発生してしまった。１号線が川のように流れ、全く動かなくなってしまった。ニュースによると、新幹線は止まってしまっているらしい。
　なんとか静岡を通過したときには、既に５時を回っていた。雨のせいもあり薄暗くなってきている。おまけに雷がなっている。とても今日は、一里塚など探している場合ではなさそうであった。
 

しかし、GPSとは便利なもので、見当を付けていた場所をセットさえすれば、正確に案内してくれる。探してうろうろする手間を防いでくれ、比較的順調に目的地にたどり着いた。あとは車を停車してあたりを散策するだけである。そろそろ雨も小降りになっていた。正確に場所を特定していたためか、程なく発見できた。話に聞いていた通り、民家の一部、何かの杭かと思える程の、みすぼらしい碑であった。