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　ちょっとした会話から、「山陽新幹線の終着駅」という話になった。

　どっちを始発とするか、によるが、大抵の人は「博多駅」と答えるだろう。これが、実は、半分正しく、半分誤りでなのである。雑学王を自認する私は、即座に「博多南駅って知ってる？」と応える。
　99％の日本国民が知らないと思う、この駅、実は、山陽新幹線開業時、福岡市の南方面に作られた車両基地への回送線としてのみ存在していた博多南線という路線の終着駅である。この車両基地付近が、福岡市のベッドタウンとして開発され、急激な人口増加を起こし、その近隣住民の要望で開業した駅なのである。
　では、なぜ、大々的に新幹線の延長と呼ばないかというと、これが上で述べた「半分正しく、半分誤り」に繋がる。この博多南線は、新幹線とは認められていないのである。あくまで、在来線扱いであり、料金も、在来線の特急ということになっている。使っている車両が、「新幹線車両」なだけである。
　さて、このような変な扱いの路線であるために、さらに複雑なことが起きる。当然のことながら、山陽新幹線は、ＪＲ西日本の扱いである。博多駅までの新幹線部分だけが、ＪＲ九州内にお邪魔している関係にある。東海道新幹線が、熱海以東、ＪＲ東日本内にあるような関係である。新幹線の回送区間を旅客化したわけだから、博多―博多南間、という在来線も、ＪＲ西日本扱いである。従って博多南駅は、ＪＲ西日本の駅。しかし、そこだけ駅員を配置できないから、ＪＲ九州に委託している、というわけなのである。どおりでＪＲ九州のサイトの中を探しても見付からないわけだ。ＪＲ西日本のサイトの中を探したら、路線図に、しっかりと九州内に１本だけ在来線が書かれているのが見られる。
　博多から博多南までの所要時間は約１０分であり、通勤時間帯には１時間に３〜４本、日中は１時間１本という運転間隔であり、料金は片道２９０円だそうな。
　知ってはいるものの、私自身も行ったことが無いので、どういう構造になっているのか知らない。博多南で乗り込んだ客は、博多駅でどうやって下りるのだろう。新幹線ホームからの出口には、必ず一旦改札があるはずなのだが。博多南駅からの乗車切符のみ、下りられるようになっているのだろうか。今度機会があったら見て来たいと思う。しかし、日中１時間１本しか無いのが問題であり、他に交通機関はなさそうだ。タクシーで移動した人の記録によると、片道３０００円程度かかったらしい。

　この車両基地、当然のことながら、将来、九州新幹線が開業したときには、通るであろう路線上にある。繋がる予定の高架も準備されているのだが、九州新幹線開業後に、この博多南駅が存在するかどうかの保証は無いという。

　さらに面白い話を紹介すると、この博多南駅、もともと旅客駅として考えられていないため、非常に不自然な場所にある。駅、および車両基地は、博多南、という名前でありながら博多（福岡市）ではなく、春日市にある。さらに、駅を一歩出るとそこは那珂川町であり、駅前商店街は那珂川町である。まあ、元々が車両基地であるから、辺鄙な場所に作られたのだろうし、市境界ぎりぎりに建てられたため、このようなことが起きたのであろう。駅の裏側が車両基地であり、出口は無い。従って、那珂川町にだけしか出られない。
　ちなみに、駅出口があるのは那珂川町中原であり、何となく馴染のある名前である。しかし、九州地区では「原」「を「ハル」「バル」と読むことが多く、ここも「ナカハラ」ではなく「ナカバル」である。那珂川町の東隣、筑紫野市に、「原田」という地区があるが、これも「ハルダ」であり、ここは長崎街道が通っている。と、無理やり街道がらみの話に持って行ってみる。
 

　このような駅名と地名の食い違いは、まあ、調べれば普通にあちこちにあり、例えば品川駅は品川区ではなく、港区にあり、駅を出たところの地名は港区高輪3丁目である。品川駅より南に「北品川駅」があり、こっちの地名が本当の品川だったりする。

・・・と、無理やり東海道に関連した話題にしてみたりする･･･

ＪＲ神田駅・・・千代田区鍛冶町２丁目
ＪＲ秋葉原駅・・・千代田区外神田１丁目

なんてのもある。また、ＪＲ厚木駅は海老名市にあり、小田急厚木駅も海老名市、それで仕方なく、厚木市内に「本厚木駅」を作る始末。
駅だけじゃない。新東京国際空港は千葉県にあるし、名古屋国際空港は小牧市（付近）にある。なぜ「付近」と、あえて注意書きしたかというと、通称「小牧空港」と呼ばれているが、実は小牧でもなくて、所在地は、「愛知県西春日井郡豊山町大字豊場」なのである。これなど、2重に間違っていてややこしい。お気付きの方もいるかと思うが、豊山町とは、マリナーズのイチローこと鈴木一郎の出身地である。

　・・・と、結局、街道から話は脱線してしまった・・・